「ともえ」シリーズ発売開始から25周年!
白山陶器の器づくりは、使う方の日々の食生活の中で、愛着が育っていくものでありたいと願いながら歩みを続けております。そんな思いの中で2000年に生まれたのが、皿と鉢の中間の程よい深さのお料理がふわりと映える、浅めで口が広がったかたちの鉢のシリーズ「ともえ」。
天草陶石を用いた磁器ならではの端正で艶やかな質感と、穏やかな曲線による心地よいたたずまいが、長くご好評をいただいております。
今回は、1990年代終盤の開発のころを振り返りながら、あらためて「ともえ」に込められた想いや、ものづくりの姿勢についてご紹介できればと思います。
開発から発売まで
時代背景
1990年代終盤のバブル景気を経て、和・洋・中それぞれに特化した装飾や形状のバリエーションは豊富にありましたが、多用途でデザイン性が高い器はまだ市場に少ない時代でした。
また、家族構成や住環境の変化で、たくさんの食器を持つことが難しくなり、手入れや収納のしやすさが重視されはじめます。
多用途で盛り付けやすさに配慮しつつ、見た目にも心地よい。そんな器を目指して、深さやフォルムやディティールの工夫を重ねていきました。


その根源は 原始的な器のかたち、人が両手で水をすくうような動作に由来する深さが、潜在意識にあったのかもしれません。
実は、静かに始まっていた
「ともえ」を発売する前年の1999年、自由な発想でデザインした「ライフシェルズ」。アーティスティックな花器としてつくられ、「ともえ」の対極にあるようなプロダクト。
曲線からなる”心地よさ”の探求が量産の器へ展開していきました。

量産の器にこそ上質さを
型やマシーンを使った量産品であっても、やきものらしさや情緒的な美しさを無視することはしない。
いわゆる“クープ型”のフォルムは、汁気のある和食や多様なメニューに対応することに着目。
基本形はゆるやかな深みのある、皿と鉢の中間の “浅鉢” としました。
縁から中心へ向けて施した渦のレリーフは、東洋のイメージを持つ“巴紋”を想起させます。
盛り付けの際はレリーフ模様に導かれ中心に料理を配置でき、自然と料理に方向性が生まれます。
透明感のある釉薬で陰影が強調され、磁器ならではの素材感が食材を引き立てます。
Lineup アイテム一覧
2000年2月の発売当初、浅鉢大、中、小の3サイズ、白磁と青白釉の2色展開でデビュー。
ユーザーからのサイズ感に関する具体的な要望もあり、2001年に多用浅鉢、2003年に手塩浅鉢が新たに加わり5アイテム展開となりました。

白磁・青白釉の2色展開
浅鉢(大) | <φ25.5×5.5cm> |
多用浅鉢 | <φ22.5×5cm> |
浅鉢(中) | <φ17×4cm> |
浅鉢(小) | <φ12.5×3cm> |
手塩浅鉢 | <φ10×2.5cm> |












これまでとこれからも
おかげさまで「ともえ」シリーズは、今年で発売から25周年を迎えることができました。これまでご愛用いただいているみなさまに、心より厚く感謝申し上げます。
「ともえ」の魅力は “浅鉢” ならではの絶妙なかたちが生む、料理を選ばない汎用性の高さ。それとシリーズ名の由来となったレリーフ模様と、それを引き立てる艶やかで透き通る釉薬が、器に静かな和の表情を与えています。
2000年のデビュー以来、様々な食卓のシーンになじみながら、日々の暮らしの中で愛着を育んでいただきました。そしてこれからもきっとみなさまの毎日の食事に使われていくのだと信じています。
長きにわたり愛される器をつくり続けられることに、幸せと誇りを感じながら、私たちは今日も器づくりにまっすぐに励んでまいります。
長崎県波佐見町と東京都南青山にある直営のショールームでは、製品を手に取ってご覧いただけます。
ぜひ実際に「ともえ」に触れてご覧いただけますと大変ありがたく存じます。
※最新の製品情報は白山陶器の直営店「HAKUSAN SHOP」のWEBサイトをご覧ください。
「HAKUSAN SHOP」のWEBサイトはこちら(外部リンク)
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